極論だけど、オフィスとリモートを比較する上でよくある議論の無理ゲーの理由は「同じ要素で比較する」ことにあると思う。例えばオフィスの方が相手の状態がリアルタイムにわかるから声かけていいかわかりやすいよね、とか物理的に同じ場所にいて聞こえてくる話題があるから話題に混ざりやすいよね(water cooler chat)みたいな話。多くの僕たちの類似プロダクトはここをアナロジーして「相手が何してるかわかりやすくする(これは自分たちも取り入れてる)」とかoViceとかgatherみたいに距離の概念を持ち込んでバーチャル上で「声がちょっと聞こえてくる」みたいな体験を提供したりしている。これって、オフィスの同じ要素をアナロジーしてバーチャルに持ち込んでいているんですよね。もちろんこれはこれで価値はある。ただ、究極行ったらオフィス・リアルの下位互換にしかなり得ないんですよね。未来にAR/VRなどの視覚体験が拡張された時にはそれと同じような体験ができる日がくるかもしれない。ただ現状ではオフィスと同じ要素においてアナロジーをして、下位互換を量産することにはあまり意味がないのかもしれない。
一旦MR的なバーチャル拡張のテクノロジーの未来は度外視にして考える。(PC/Mobile/ぎりスマートスピーカーやイヤホン) **その上で、まず論点を整理したい。オフィスと比べてリモートが劣るのはもちろん一つの要素ではないが「文脈・背景・暗黙知」などオフィスで物理的に感じられる五感から得られる情報量の差にあると思う。それをいかに超えていくか。**それは上述した通り、メンバーの顔を伺って表情から感じられる情報やPCの画面を見て感じ取れるリアルタイムに何をしてるか、だったり、聞こえてくる会話から生まれるセレンディピティ的な会話参加だったり。こういったものをアナロジーしてバーチャルにリモートに持ち込もうとするトレンドが類似プロダクトや自分たちの界隈では散見される。ただ上述した通り、それを目指しても結局リアルで得られる情報量・五感情報に勝るのは現状のテクノロジー(主にデバイス側)では難しいと感じる。では何をするといいのか、それはコンテキストのビハインドを全く違うリモートネイティブな形で生み出しアドバンテージを作ることなのでは。そしてそれはアナロジーで生まれる同要素のリモート化ではなく全く違う形をしていると思う。
具体的にオフィス(リアル)とリモート(デジタル)において構造的なリモートの強みはデータである。リアルで取れないデータを取れることに意味がある。抽象化したらslackが普及しているのもテキストデータが保持されてSyncされることで「一回言ったことを再度言わなくていい再共有コストを下げていることだと思う」かつそれらのテキスト文脈を見ることで「あの人はこれを今してる、あの人はこう言っていた」という「暗黙知を生み出すこと」にあるのではないか。そして、それは音声においてもバーチャルにおいても同じことが進むしそこが勝ち筋なのではないか。んで、それってTeracyが取得できる今まで取れていなかった人が働く時間(8h/day)に生まれる会話や行動データでないか。
例えば今で言うとコールボタンが生み出すデータもそれにあたる、コールボタンは抽象化すると「これ話したいんですけど、何分ぐらいで話したいんですけど、今行けますか?無理ならいいタイミングで声かけてください」を「ワンタップ」という簡単な行動で圧倒的に簡略化し、そのデータにより文脈を形成することだと思う。その他に、トピック機能が生み出すデータもそれにあたる、トピック機能は抽象化すると「話したいと思っていることをデジタルデータに残して漏れなく解消する」という機能であり、そのデータによってメンバー間のオフィス、リアルタイムでは解消できなかった会話をデジタルだからこそ担保していく機能だと思う。
もっとわかりやすい!(自分が思う)「リモートだからこそできること」それらの「データ取得と利活用」でいくと、以下のUXがある
レコードUX - Teracyにレコードボタンがあり、それを押すと会話や画面が収録され、アーカイブできる。同じ部屋にいて話していた人は自動でinviteされ追加で手動inviteやreply/commentができる、それらは検索性に優れており後で見返せるだけでなく、本丸はそれらをnotionにarchiveしたり誰かにシェアすること。notionがdocumentationによりリモートにおけるcontextやコミュニケーションコストを下げているように「再共有」のコストを下げたり(同じ話を2回しなくていい)、「暗黙知の水準」をあげたりする(それを聞けば背景文脈がわかる)などがある。ちなみに実装をすでに検討していて調べた(Mr Harada様 @shingo harada が調べてくれた)が、loomのsdkはポンコツだったのでagora recode sdk か オープンソース ‣ を使う方針になるかな。**これって結局「今まで取れてなかったオフィスでの会話をデータ化し利活用可能にする」大きな価値があると思う。**例えば同じオフィスにいて、違うところで話している会話があって、それを知るにはもう一回話す再共有コストが発生する。ただその未だ誰も取れていなかった働く時間の会話・行動データがこのUXによって残ることで「これ倍速で聞いといて」で解決する。またAmazon/GoogleのSpeech to text apiを使って(原価コストは相談だし、エコノミクスによっては上位プランを作る必要があるかもだが)自動テキスト化することで大体文面でキャッチアップしつつも音声でキャッチアップするなどもできる。(追加メモ:レコードUXにアーカイブかつリアルタイムで消えるメモ like around を添えてコミュニケーションコストを下げる)
UX参考
行動(コミュニケーション・アクティビティログ)データをマネジメント層向けに提供するアナリティクスUX - 誰と誰がいつどれぐらい話したか、部署間にある「リモートとしてあるべきコミュニケーション量(ここは相対軸をプロダクトとしてデータで示せるといい)」を可視化してHR文脈的にマネジメント層にフィードバックする。他には勤怠的なデータも簡易的には実現できるし、飛躍した話だと会話データや表情・音声認識によるメンタルヘルスやモチベーションスコアリングも理論的には可能になる。(最近そっち系の日本スタートアップも出てる)大手・エンプラも、多数いて把握不可能なリモート従業員のデータがダッシュボードで一眼でわかり、どう改善すればいいかのHowまでをアルゴリズムでサジェストできるのではないか。
⇨ これらのUXはTeracyだから取れるデータと利活用が根底にあり、これによってリモートワークのコミュニケーションコストを飛躍的に下げることに繋がるのではないか。
今日Slackの emo-times で呟いた内容