Slackの音声チャット機能「Huddle」は競合なのか?

半年ほど前からSlackのCEOであるバターフィールド氏はBloombergかCNBCか忘れたけど、どちらかの取材で「音声チャット機能」をリリースする、と公言していた。なのでもちろん出てくるのは分かっていたわけだけども、このリリースをどう捉えるのか。**競合なのか、それとも違うのか。これに対しては確実に競合であると言える。なぜなら多くの人がSlackのHuddleとTeracyを比較するようになるから。**ただ自分としては「ついにきたか、**SaaSのスタートアップの勝ち筋パターンの歴史にのっとるとマーケットが開くタイミングだ。**尚Teracyとしての当たり前品質と魅力的品質、一元品質を突き詰めるフェーズに入る」と思っていた。

SaaSスタートアップ(PLG×Horizontalの話)の勝ち筋、マーケット成長〜熟成のパターンはメガOSやメガインフラツールから始まる

この勝ち筋パターンとは何か、それは以下でTweetした通り

https://twitter.com/e_scale0219/status/1413412486942842886?s=20

例えば、「ノート(Doc)アプリ」で例えてみる。Mac(メガOS)が提供している純正のノートアプリがある。これはとても便利で、なぜならmacの中に入っているからわざわざアプリを起動したりブラウザにアクセスする必要がない。またそれは安定的かつ最大公約数的なシンプルで必要最低限の機能が備わっているから。自分もよく使う。ただ、この駆逐されたかに見える「ノートアプリ」のマーケットにおいてもスタートアップで成功したプロダクトも沢山ある。**例えばEvernote、それはMacのノートよりフォルダ分けがしやすかったり、ストレージ的な機能としてファイルがアップロードできたりするから。どれだけMacのユーザー基盤を元に純正ノートを使うユーザーがいてもEvernoteが提供する新たな新規軸のUXによって新たなマーケットが生まれ、リプレイスが進む。これでノートアプリは出揃ったかと思った矢先、みんな大好きNotionのようなアプリが彗星の如く出てくる。**NotionはEvernoteよりSyncクオリティが高かったりシェアしやすかったりカンバンボードやテーブルまで作れるAll in one という新規軸で多くのユーザーを獲得している。

これはノート(Doc)アプリに限らずチャットサービス(OSメッセージ機能⇨Slack/Chatwork)、メーラー(OS純正⇨Gmail⇨Superhuman)、タスク管理(OSリマインダー⇨Todoist・Trello・Asana・Monday)、プレゼンテーション(Google slide/Keynote⇨Canva⇨Pitch)、テーブル・DB(Googleスプレッドシート⇨Airtable)などなど。あげればキリがないが、同じような遷移を辿っている。かつ同じような順序もしくは先にスタートアップが出た時に大手(メガOS/メガインフラツール)が後に出てきてマーケットが開けて(UXがマスに普及する)スタートアップが軸をズラして勝ち抜いていくパターンの2パターンが多い。Teracyのいる「音声常時接続」の文脈ではどうか、間違いなくSlackが提供するこのHuddleのUX浸透による新たなパラダイムシフトがTeracyを押し上げてくれるのは間違いない(もちろん魅力・一元品質で明確な新規軸があるという前提で)

その他の隠れパターンとしてコンシューマー(C向けアプリ)がUX普及に貢献した後のSaaS繁栄パターンも存在する

順序は上記2パターンいずれかとして、**コンシューマー向けアプリとSaaSの関係性においてもある種の共通法則が存在する。**例えば、チャットに関してはSMSの後にLINEがきた、これによってメールを使う人が減り、「チャットでコミュニケーションする方が便利」という新たなパラダイムが生まれ、その前後にChatworkやSlack、Teamsが繁栄してきた。(Slackは今のキャズム以降のクリエイティブや訴求は上記があっても尚メールを使う層に向けて"メールやめましょう"訴求をやってるw)**Zoomに関してもそう、初期(2010年代前半)はFacetimeやSkypeのC利用が繁栄する中でZoomが出てきたりする。それは「ビデオコミュニケーションはチャットよりリッチなコミュニケーションができて便利」というパラダイムが生まれたから。そのようにコンシューマーで流行るUXは世界マスの土壌を耕して、その土壌に新たなSaaS・B2BとしてUXを提供するPLGhorizontalが誕生する。**Teracyのいる「音声常時接続」の文脈ではどうか、まず筆頭はDiscordによるゲーマ⇨コミュニティ⇨企業利用というUx普及、その他昨年話題になったClubhouseにより「音声常時接続によるコミュニケーション」がC向けに急速に普及した。これらC向けアプリの貢献によりB2B SaaSにそのUXを提供するプレイヤーが乱立する。これもまたTeracyを押し上げてくれている。今後もその流れは加速するだろう。(もちろんこの普及にはairpodsなどデバイス側の貢献も大きいが)

メガOS/インフラツール・C向けアプリが市場を耕した後のSaaSプロダクトはhorizontalゆえに大きなマーケットを捉えていく

上記のようなパラダイムシフトの共通法則があるという前提で、**Horizontal SaaS×GlobalプロダクトはHorizontalゆえにGlobalゆえにニッチに見えるセグメントでも大きな成長を遂げる。**Notionは言わずもがなだしMondayなんてタスクマネジメントツールなんて腐るほどある中でも8000億級でIPOしていく。本当に面白いビジネスモデルであり、マーケットであり、ドメインだなあと思う。自分たち(Teracy)がいるこのマーケット構造では「100人に熱狂されたら、世界かつホリゾンタルスコープにすると数百万人〜対象がいる」みたいなマーケットである。だからこそ、いかに10人・100人に熱狂されるか、メガOS・メガインフラツールよりも「Xな点において圧倒的に便利であるか」それさえ(と言ったら言い過ぎだけど)できればあとはマーケットをとっていけばいいし、10人熱狂したUXは世界的に100万人に使われる可能性がある、という話。

では、Slack Huddle・Discordの2大最大公約数UX普及ツールに対してTeracyは何をするべきなのか